11月29日から12月2日まで東京ビッグサイトで開催された国際ロボット展2017に、当社のロボット「CREEPEE《クリーピー》」を展示してきました。
CREEPEEとは、三友工業が開発した現場調査ロボットです。現場調査というのは、工事が始まる前に現場に行って各所の寸法を測ったり、何か工事の際に問題になりそうなものがないか確認するという工程のことです。現場の寸法を人間の手で測ると誤差がすごいし、高いところを測るのは危険だし、時間もかかります。だいたい2人がかりで3時間くらいかかります。ところが、CREEPEEはこれをたったの15分でやってしまうというすごいロボなのです。しかも正確で間違いはないし、人間は安全なところから見ているだけで良いのです。
正確に測ると何が良いのかというと、工期が短縮できます。
発電機の各種配管工事では、現地で配管を溶接するため非常に時間がかかります。事前に工場で溶接した配管を現場に持って行って取り付ければ工期は短縮になりますが、手で寸法を測っているとどうしても誤差が出るので、いざ現地で組み付けてみたらサイズが合わない、ということが普通に起きます。ロボットが正確に現場の寸法を計測できることで、配管のプレファブ化が可能になり、その結果として工期を短縮することができるのです。
もちろんロボットでなく、レーザスキャナを使っても同様のことができるのですが、当社の技術者は測量の専門家ではないので、レーザスキャナの操作が難しいという問題がありました。現場で簡単に使えてこそ実用に耐えうるという考えから、あえてロボット化し、ボタン一つで計測が行えるようにしました。
実はこのCREEPEEを作るにあたっては、日本ロボット工業会様が実施しているロボット導入実証事業に採択され、経済産業省からの補助を受けています。今回の国際ロボット展への出展も、このロボット導入実証事業の成果発表ということで、経済産業省のブースにスペースを用意していただき実現しています。
展示会では多くの方にお立ち寄りいただきましたが、外国の方が非常に多く来られたのが印象的でした。ブースへの来客の三分の一くらいは外国の方だったんじゃないでしょうか。やたら「ディスロボットイズクール!」と言われました。また、内外問わず、特に設備工事業の方の関心が強かったです。値段を聞いてこられる方もいらっしゃいましたが、「今のところ売り物ではない」とお伝えするととてもガッカリされるので、たいへん心苦しかったです。
いまCREEPEEを市販できないのには理由があります。CREEPEEそのものの完成度は十分に高いのですが、CREEPEEの吐き出す計測データからCAD図面を作成するには、それなりの技術が求められます。せっかく正確に計測できても、図面化するのが難しければ現場では使ってもらえません。
そこで現在、CREEPEEが作成した3次元点群データから自動でCAD図面を出力するプログラムを開発しています。これが完成すれば、計測から作図まで一気通貫で自動化できるソリューションとして広く提供することができるようになります。来年度中にはなんとかしたいですね。